OFFICE&FREEDOM

沖縄フリーライター・WEB編集者/三好優実のブログです。

2冊の本を同時に読み、得られる文章のおもしろさ

以前、精神科医の名越康文さん著書『精神科医が教える 良質読書』を読んでからずっと実践している読書法がある。

 

それは「複数の本を同時に何冊も読むこと」

 

いままで1冊読み切るまで他の本には手をつけてはいけないと思っていたわたしにとって、画期的だった。だって複数の本をその日、その時の気分に合わせてチョイスできるのだから。この方法を用いるようになってから、多くの本を読了できるようになった。

 

そして最近、複数の本を同時に読む新たなメリットを感じる出来事があった。

 

それは、ここ数日読んでいた『言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術』という本と『猫は、うれしかったことしか覚えていない』という本を読後感。

 

 この2冊は表紙とタイトルを見る限り、文章術の本と、絵本のようなコラムのような癒し本と分けられる。

 

猫は、うれしかったことしか覚えていない

猫は、うれしかったことしか覚えていない

 

 

内容自体は思っていた通りだったのだけど、実はこの2冊から得られる気づきには共通点があったのだ。

 

おもしろい文章=発見がある

f:id:minoru-office:20200603121429j:plain

『言葉ダイエット』に書かれていた言葉だ。おもしろい文章は発見がある文章だと。

 

そしてもちろん『猫はうれしかったことしか覚えていない』にはそんなことは書かれていない。だけど、ひとつひとつのコラムの中で、その言葉の具体例としてスッと入ってきたのだ。

 

例えばわたしが個人的にとても印象に残った章がある。

 

猫は、今を噛みしめる

散歩コースにある神社に、猫が住んでいました。どこで生まれてなぜここにいるのかわからなけれど、いつの頃からか姿を見せるようになったのです。人に臆することなく、どこからともなく「げんき〜?」とやってきてはごろん。おなかを見せては「なでて」と催促する人懐こい猫で、ご飯を運んでくれる人も何人かいたようです。

 

(中略)寒い日や天気の悪い日には心配になり、我が家に迎えようかと本気で悩みましたが、踏み切れずにいたとき、神社で会わない日が続きました。気になっていたら、神社の近くの親切なご夫婦の家に引き取られたと知りました。「あの子に家と家族ができた」と喜びましたが、会えなくなるのは少し寂しくもあって....。

 

しかし、猫は野良時代の名残か、今もふらりとパトロールに出るようで、ときどき道で見かけます。「あ、ども」という感じで、知っている風に反応はしてくれますが、あの頃のように「ねえ、なでて!」なんてことはありません。

「私たち、仲良しだったじゃない?」と近寄ってみるも、「あ、まぁ。でも...」という感じで躊躇し、少し距離を置こうとするのです。

 

(中略)以前のように愛情にも飢えていません。顔見知りのことは忘れたわけではないけれど、あの頃はあの頃...。それだけ「今のしあわせ」を精一杯味わっているんですね。

 

 

この本がおもしろいのは、猫がかわいい、癒される、というのはもちろんなのだけど、ライターとして見たときにおもしろかったのが、著者の気づく力、感性だ。

 

普段日常生活の中には、言語化しない感情や気づきが溢れている。たとえばこのエピソードだと同じ経験をしたとして、久しぶりに野良猫に会って「ねえ、なでて!」がなくなったなぁという気づきは多くの人に芽生えると思う。だけど「少しさみしい気持ちになった」という感想で終えることがほとんどなのではないだろうか。

 

「今の幸せを味わっているんだなあ」と猫の立場に立って考え、その気づきを言語化し、人の生き方を見つめなおさせてくれるような本にまとまている。そしてそれを読んだ人に対して、"おそらく、もし同じ経験をしたとしても得られていなかった"気づき・感性を提供しているのだ。

 

おもしろい文章=発見のある文章。言葉ダイエットの本にはこの説明がわかりやすくされていた。

 

「いつもの毎日のほんの些細な瞬間を一歩踏み込んで考える」

上記の一章がちょうどこの言葉の具体例となり、言葉ダイエットで書かれていた文章の深みが増した。

 

ふたつを結びつけることで、ふたつの観点で読書を楽しめる

f:id:minoru-office:20200713021540j:plain

 

韓国に『カラスが飛び立ち、梨が落ちる』ということわざがある。いかにも関係がありそうな2つの事柄の間に、必ずしも因果関係があるとは限らないという意味らしい。

 

人間の頭は、なにかふたつの物事が起こったとき、そのふたつをどうにか結びつけようとする性質があるらしい。おそらく悪い意味で使われているであろうことわざだが、読書に関しては、おもしろい化学反応を生んでくれそうだとわたしは思った。

 

今回は文章術×コラムという組み合わせだったからその相乗効果を顕著に感じられた気もするので、また同じようなことが起こったときにブログでご報告できれば幸いです。